月明かりに魅せられて

薄氷の上の決意を愛おしく想う

拝啓、2016年5月1日の3人へ

 2020年3月22日、KAT-TUNが記念すべきCDデビュー14周年を迎えた。

 来たる15周年に向けて更なる躍進に期待高まる中、2020年4月8日に発売したLIVE DVD&Blu-rayKAT-TUN LIVE TOUR 2019 IGNITE公式TwitterInstagramも突如始動し、興奮冷めやらぬ非常にめでたい一日となった。

 

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 そんな3月22日、私は私なりの14周年祝いの締めにLIVE DVDKAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR "10Ks!" 』を観ることにした。

 

 当記事はKAT-TUNを好きになってから約6ヵ月の新参者が『"10Ks!" 』を受け止めて、今更ながらKAT-TUNの1年8ヵ月に及ぶ充電期間と再始動を迎えたKAT-TUN LIVE 2018 UNION』に至るまで、それらから受け止めた収まりきれなかった想いの丈を好き勝手に綴ったものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR "10Ks!" 』とは。

 2016年3月22日に10周年を迎えたKAT-TUNの充電期間前ラストライブとなった5月1日の東京ドーム公演を収録。ファンへの感謝の気持ち“10Ks!”をタイトルに掲げ、KAT-TUNとファンであるhyphenだけの空間で、彼らの10年間の軌跡を辿る事が出来るセットリストとなっている。

 

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 私はライブという存在はアイドルのパフォーマンスの中で一番重きを置いている。

 何故なら、それが全てだからだ。

 歌唱力、エンターテインメント、その圧倒的な魅力はまるで遊園地のようだ。一歩足を踏み入れれば、其処は夢の世界だ。この世界で最も、アイドルである彼らを約束された場所だ。

 だから私は怖い。彼らをもっとも手っ取り早く知ることのできる手段であるライブ映像を観るには、己の心の中で大きく覚悟を決めてからではないといつも臨めない。

 

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 最初のきっかけであるKAT-TUN LIVE 2018 UNION』ライブDVDを鑑賞する際もそうだったが、私はとにかくKAT-TUNというグループに踏み込むのがあまりにも怖かった。そしてそれは、未だにそうである。多少はマシになったが、やはりまだ怖いのだ。

  見れば見るほど、知れば知るほど、KAT-TUNが辿ってきた歴史をなぞれはするものの、辿れはしなかった私が、何も知ることのなかった私が踏み込んでもいいものかと。勝手にその”時間”にトリップしてしまう。還らない過去に勝手に心を痛めてしまう。

 

 最近、ぽつぽつと4人時代のライブ映像や5人時代のMVを手に取り観るようになった。

 その中で今最も印象的だったのは、KAT-TUN LIVE 2015 "quarter" in TOKYO DOME』だ。

  ライブはとても圧巻だった。今まであまり類を見ないステージ機構、メンバーそれぞれによるパートパフォーマンス。艶やかで、クールで、洗練されていて、面白くって。何にも全力で取り組むKAT-TUNの弛まぬアイドルの姿勢を受け止められたような。見終わった後の気持ちはそんなところだろうか。

 ただ、どうしてもそれだけでは終われなかった。一つ残ったのは、田口さんの涙だ。

 その一身に愛を浴びながらラストで涙ぐんでいた田口さんの姿を見て、少しという言葉は嘘になるほど胸が痛くなってしまった。

 どうも単純に受け止められなかった。その先の未来を知っているからこそなのか、どうしても「どうして脱退されてしまったのだろう」と思わざるにはいられなかった。多分私は、この先5人時代、6人時代のライブ映像を観た時にもきっと赤西さん、田中さんに同じようなことを抱いてしまうと思う。

 歌を聴いている時ですら、そう思ってしまうこともあったのだから。

 だけれど、そんなときにいつも『"10ks!"』のラストでの亀梨くんの挨拶を思い出す。

 

KAT-TUNは、K 亀梨和也。A 赤西仁。T 田口淳之介。T 田中聖。U 上田竜也。N 中丸雄一。この6人で結成されたグループです。』

 

 『"10ks!"』を初めて鑑賞してた時、もう既に涙が止まらなくてどうしようもなかったが、この言葉にもう声を上げて涙を流すことを止められなかった。

 それまで見たことのなかった涙する中丸くん。

 それをやさしく受け止める上田くん。

 更にその全てを包み込んだ亀梨くん。

 

 メディアがそうだからか、何となく、脱退していったメンバーの名を口にするのは憚られるような、そんな暗黙の空気があるように思っていた。

 KAT-TUNを好きになった当初はどうしても、その3人の名前を出すことが難しかった。けれど、亀梨くんの挨拶で6人全員の名前を読んだとき、まるで勝手に自分で罹っていた呪いが解かれたかのような、そんな感覚だった。

 実際、名前を出してはいけない何てことはないだろう。他ならぬ脱退した3人だってKAT-TUNであったし、作り上げてきたかこの功績、栄光は覆るものではない。なかったことにしていいことなど絶対にない。積み上げてきたからこそ、今に繋がるのだから。

 己が思う自由を手に活動する3人の姿を、最近ようやく目に出来るようになった。今は本当に素直な気持ちで、彼らの現在の姿を見て、頑張ってくださいと思うことができる。

 
 このライブは、これまでの10年を総括し共有し、一区切りをつける場であり、いつか新しい形で「また会おうね」と互いに別れを告げる、そんな場だと思っていた。一区切りつける、暫しの別れを告げる。それは私の中で途方もなく苦しい「終わり」のイメージだった。
 もちろん、これで終わりになどしない、いずれ再会を誓ったものではあり前向きな意味合いではあったに違いない。それでも、これはまたいつかの「始まり」までのひとつの「終わり」。無意識にそんな風に捉えていたように思う。けれど、特に過去を振り返り終わった後からの彼らを見ていたら、これは「終わり」ではなくて「始まり」の光景だ、と気がついた。そしてここはその決意表明の場だった。
 メンバーが1人、1人、また1人と減って3人となった彼らの前には、いくつかの選択肢があっただろう。このままで続けるなり、メンバーを増員するなり、…いっそ、解散するなり。

 そのなかで「充電」を選んだときに、彼らはもう「始まった」のだと思った。

 なんとリスクのある道を選んだんだろう。前例なんてない。再開する保証もない。

 でも、彼らは本気だったと思うし、そうと決めた時点でもう「始まり」だったのだ。そしてそれは、KAT-TUNという船に乗る私達も既に「始まっている」ことを意味する。

 調べれば簡単に何でも知ることのできるご時世だ。目にすることを恐れながらも、自由を求めて船を下りた3人のこと、船首に立ち続けた3人のこと、いろいろ知っているつもりになっていた。でも何も理解できていなかった。DVDという形でその日の彼らの姿やその表情をつぶさに目にすることで、やっと本当にその思いに至ったように思う。

 そして今、決して折れない3本の矢となって船が漕ぎ始めた未来を知っていて、良かったととても思う。

 "絶対"などというものは無い。漕ぎ出したその先に何があるのかわからない。もしかしたら、いつの日か彼らが苦しみ悩んだ末にそういう決断を下す日が訪れるかもしれない。

 それでも、いま漕ぎ続けている彼らとファンの方々と私自身を信じたいと思うし、先は見えなくてもいまを積み重ねていくことで、それがやがて未来に繋がるならそれを望みたいと思う。
 もしいつか過去ではなく現在として泣く日が来ても、3人を信じたい。

 MCで、「10年応援してくれるなんてすごいことだよ」と口々に言い感謝してくれた彼ら。
 1年にも満たない「好き」だけれど、こんなにも夢中にさせてくれて、好きにさせてくれてありがとう。


 そう思えた、彼らの姿だった。

 

 

 

 

 

 新型コロナウイルス感染拡大予防のための緊急事態宣言発令に伴い、暖かな春の陽気にも素直に気持ちが向けられないまま日々が目まぐるしく移ろう。

 先の見えない混沌とした世の中、不安と隣り合わせの日々。エンタメや娯楽の楽しみも奪われつつある。

 ここにも、”絶対”は存在しない。ひょっとしたら、ずっとこのままという未来だってあり得るかもしれない。

 そんな最中、KAT-TUNもジャニーズとして、アイドルとしてエンターテインメントの底力を見せてくれる。「自粛しよう」ではなく「家で一緒に時間を過ごそう」と呼びかけてくれている。

 

youtu.be

 

  3月30日。ジャニーズ公式YouTubeチャンネルで公開された「Johnny's World Happy LIVE with YOU」にて、KAT-TUN迫力あるパフォーマンスを見せつけてくれた。その一方、既存曲をアレンジしてうがい・手洗いの必要性を強調し、ファンだけではなく広く大きく話題になった。

 

 上田くんは、出演している『Endless SHOCK 20th Anniversary』新型コロナウイル感染拡大防止のために中止になってしまった。けれど、「Johnny's web」内の個人連載でご自身のまっすぐで前向きな言葉をファンに贈ってくれた。SHOCKカンパニーメンバーの方々と共にインスタライブでのトークや歌番組等でのスペシャルパフォーマンスで、私たちに元気と勇気をくれた。

 

 中丸くんは4月8日、「Johnny's web」内の個人連載でや登録者に向けたアーティストメールにて、LIVE DVD&Blu-rayKAT-TUN LIVE TOUR 2019 IGNITE同時視聴を提案してくれた。コロナ禍で手に入らない方々がいることも考慮し、慌てて買い走らないよう「いま手元にある作品を同時に鑑賞しましょう」と配慮した上での優しい「お誘い」だった。お誘いのあった4月10日に第1回、4月19日には第2回の「#KATTUN大視聴会」がスタートすると大きな盛り上がりを見せて、ファンと共に家でのかけがえのない時間を共有してくれた。

 また、感染予防活動と称してジャニーズ公式TwitterであるJohnny's Smile Up! Project(@smileup_project)では自身が描いたイラストで「ステイホーム 4コマ」漫画連載を毎日更新してくれている。

 

 

 

 亀梨くんは、アルバム発売やドームツアーが予定されていた山下智久さんとの“亀と山P”の活動が延期状態にある中、特別放送されている「野ブタをプロデュース。」を一緒に観ようとラジオ等で呼びかけてくださったり、本来アルバム発売日であった4月29日には、山下さんとインスタライブを行い、ファンとの時間を共有してくれた。

 

 365日分の1日、24時間のうちの数時間数分

 「普段手の届かないところにいるようなアイドルと同じ時間を過ごせること」がどれほど尊いことかを、この機会に改めて感じた人も多いのではないだろうか。たとえ場所が離れていても、時間を共有し心をひとつにする喜びを、彼らは教えてくれる。

 ほんの少しの工夫で、こんなにも楽しい時間を創ることができるのだと、アイドルの呼びかけやファンの行動に気付かされることも多い。どう過ごしているか、体調に変わりなく元気に過ごせているだろうかと。そんなファンの心配を払拭してくれる日々のコンテンツ更新と、嬉しい提案。新しい時代のファンサービス、新しい「つながり」の可能性を感じさせた。

 いついかなるときも「ファンを楽しませること」を最優先に考え、自発的に活動してくれるありがたさにはもう頭が上がらない。我々ファンもそれに応え、会えない悲しみをどうにかポジティブに楽しみながら。いつか会える日が来る、いつかまた、もっともっと楽しい時間を過ごせると信じている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 拝啓、2016年5月1日の3人へ。

 

 およそ4年後の未来で、その日の3人の勇姿を受け止めました。

 

 広く包む水、遠く貫く光、高く昇る炎。

 圧巻と謳われるステージの中でもさらに輝く3人の姿は、途方もなく大きく、あまりにも素敵でした。

 

 大変私事だけれど、KAT-TUNを好きになった当時、私は心身ともに疲れ果てていて、好きに向ける気持ちすらも枯れ果てる寸前でした。

 そんな時にささやかなきっかけで出会ったKAT-TUNという存在に踏み込んで、知れば知るほどその光の眩さに目を細めながらも惹かれることをやめられませんでした。

 

 初めて『”10ks!"』を見た時、充電期間というあまりにも大きすぎる決断に、私の目には誰よりも”KAT-TUN”としての時間が空いてしまうことを恐れているのは、他ならぬ3人のように映りました。その時心の底から、充電期間という決断の事実のあまりの重さと、3人の決意の強さ。そしてKAT-TUNをこの世で一番愛しているのは他ならぬKAT-TUNを守り続ける3人であると改めて知ることができました。

  その決意の上に掲げられた、決して折れることのなき高潔な3本の矢。

 ジャニーズに関心を抱いていなかった時に偶然目にしたカウントダウンライブ2017-2018で披露した『Ask Yourself』。力強い復活の号令を目に出来ていた限りなく近い奇跡を、ずっと大切にしたいです。

 

 2回目の『”10ks!”』は、仲違いして2年も口を利かなかった姉と一緒に観ました。

 6-5人時代の有識者でジャニーズに関心を抱かなくなっていた姉と一緒に、深夜に2人抱きしめ合ってわんわん泣きながらそのステージを見届けました。その時姉は、『UNION』の円盤を握りしめて、「こんな終わり嫌だよ。バッドエンドじゃ終われないよ」と叫びました。

 ただ私は、この『”10ks!”』がバッドエンドであるわけがないと思う。なぜならここがまた始まりであることに気が付けたから。『UNION』のラストで2年の答えである『Ask Yourself』と幸せそうに甘やかに『SweetBirthday』を歌って「次がある」と笑顔で挨拶をしている3人の幸せを受け止めることができたから。

 

 先日発売された『IGNITE』のムービーでの氷漬けにされた花と時間は、『"10ks!"』等を見届けた私の目にはあまりにも鮮烈に目に焼き付きました。その氷はまるで、充電期間の比喩のようであると。

 その凍てついた時を激しく、けれどあたたかく溶かすように。そしてそこに咲く友情の花。それがまた、私にとっての一つの救いとなりました。

 

 今、世界はとてつもなく大きな脅威にさらされて、エンタメも満足に楽しめない状況下です。

 けれど、そんな中だからこそ自らに出来ることを、と率先して楽しさを私たちに届けてくれる3人の計り知れない大きな強さと愛に、日々救われています。どうか貴方たちの強さが報われる日が、貴方たちの愛に応えられる日が、無条件で大きなステージの上で笑顔でパフォーマンスできる日が一刻も早く訪れますように。

 向かう15年目と、その先に続く未来まで、どうか大きな大きな船を、その航海の旅路の行く末が、照らされたものでありますように。

 

 

 

 KAT-TUNの3人が守り、繋げてくれた未来より。