月明かりに魅せられて

薄氷の上の決意を愛おしく想う

一等星に出会うまで

「改めて聞くけれど、どういうところが好きなの?」

 

通話越しにそう問われて、握りしめていたペンを置いてぽつぽつと羅列をし始めたのは、いつの深夜だったか。

思いつく限りをぽんぽんと上げていったが、ふとした瞬間に言葉が詰まる。

何故言葉が詰まってしまったのだろう。

 

時計を見ると深夜2時を過ぎたころ。あまりに沈黙していたので寝落ちしたものだと思われたのだろう。「また今度、好きなところいっぱい聞かせてね!おやすみ!」と通話相手の友人から優しいメッセージが届いていた。

 

 

 

 

 

私が中丸雄一という人間について好きだと思うところ。

 

綺麗な声。炭酸ソーダみたいに透き通りはじける高音も、深淵を覗いたかのような引き込まれる艶やかな低音も、メロディに乗せて紡がれる歌声はどこまでも愛おしい。

 

端正な容姿。降ろしたり分けたりする前髪も、所謂チャラ丸さんだった頃の長めの髪も、凛々しいお顔も、滲ませる柔らかさやすっと冴えた冷涼な瞳も、長く節くれだった男性らしい素敵な手も、すらりとしたスタイルも何もかもが美しい。

 

危険な劇薬。「セクシーは専門外」なんて言いながら、シャツのボタン四つ開けたり、あけていたピアスホールにピアスを通して色気を燻らせては、数多のファンを魅了し翻弄する。

 

ふとした瞬間の幼げなところ。目尻の笑い皺がきゅっと深くなる時に、気持ちが高ぶった時にワントーン高くなる声に、ビビリなんて言われちゃうくらい怖いところや高いところが苦手なところにきゅんとする。

 

飽くなき探求心、向上心。不言実行、仕事も趣味も、何事に対して実直で誠実で。コツコツと継続して積み上げることのできるところに、人間として深い尊敬の念を抱く。

 

良い意味で頑固な人。自身のルールに対して細やかで、人見知りで心を閉ざしがちで。評される偏屈という言葉を裏返せば、確固たる自分を持っているということ。

 

冷静で理性的な人。でもその中に内包された、誰にも負けないくらいの熱い情熱に惹かれてやまない。

 

上げだしたらキリがない。全てをまるっと抱きしめて愛してしまいたいくらい、好きになってしまった。

元々飽き性の私は、何に対しても「好き」が続くのは3か月ももてばよい方だ。昨年から数えて、好きになって約1年。1年も続いていることに、今自分が一番驚いている。

中丸さんの何が、自分をここまで夢中にさせるのだろう。改めてそう考えたときに出た一つの答え。

 

私にとって中丸さんの一番好きなところは、「どこまでも知りたいと思わせてくれるところ」だ。

 

 

 

 

先日、私にKAT-TUNを知るきっかけを与えてくれた友人が一番最初に布教したと思しきツイートを引っ張り出してきてくれた。

ツイートの日時は2019年8月12日。「とりあえずいっぺんMOONをキメてくれ」的な内容だった。

そこからまんまとMOONに魅せられ、ハマりたくねえよぉと、嫌よ嫌よも好きのうちよろしくKAT-TUN沼へとずぶずぶ足を進めるのである。

「MOONが好きなら黙って1582を見てくれ」と勧められ、和コンセプト大好きなオタクなものだからまたしてもまんまとハマっていく。実のところ、私が一番最初に好きになったのは亀梨くんである。

そんな調子でずぶずぶ引き込まれていく中、ようやく自らKAT-TUNについて調べ出す。顔と名前がまるで一致しなかったので、まずはメンバーの名前を知るところからはじまった。

 

亀梨和也

妖怪人間の人だ、流石に名前は知っていた。綺麗なお顔で大変色っぽい人だなと思っていたが、実はこの人がKAT-TUNだという事すら知らなかった。どれだけ興味がなかったんだろうこの人。

上田竜也

当初、現在と昔のお写真と見比べて、現在のビジュアル見て田中聖さんだとどえらい勘違いをしていた。通称甘栗期のビジュアルを婚カツで見たような見てないような気がしていた。なんとも朧気で残念な記憶である。

 

他既に脱退されている3人を含め、正直顔と名前もふわふわ認知レベルだ。否果たしてこれは知っているにカウントされるのだろうか。

と、ここまで来たところで最も論外の前提の方がいた。

 

中丸雄一。

私は中丸さんについて顔も名前も知らなかった。わからなかった。

世間一般からの「シューイチのお兄さん」というイメージも、ニチアサは惰眠を貪るかプリキュアを観るかの二択しかない人間の中には存在すらしなかった。

滑稽な話である。今じゃもう考えない時程ないくらい魅了されているというのに。

 

第一印象、物腰柔らかそうな方。

初めて中丸さんが喋っている姿を見たのは、一年前に放送されたタメ旅のゴルフ場フィッシングの回だったか。

KAT-TUNがバラエティー番組をやってること自体驚きだったのだが、見終えて思ったことは、なんだか癖になる言動をされる方だな、と。

中丸さんのことが気になって、中丸雄一と検索をかけてネットサーフィンを始める。

調べて、教えてもらって、調べて、教えてもらって。

そうして「STEP BY STEP」を歌う中丸さんに辿り着くまで時間はそうかからなかった。

 

青天の霹靂であった。

友人から「中丸くんが少年倶楽部で歌ってた時のが奇跡的に見つかったよ」なんて、一度だけ見せてもらったステージ。

なんて綺麗な高音。蒼い光の中で歌う中丸さんの姿に、私の目の中に星が瞬いた。

綺麗で、美しくて。ありきたりの言葉でしか表現できないが、それが事実なのだ。

言葉を失う程、正直どの要素に心を掴まれたのかわからない。

ただ明確に、「私はこの人をもっと知りたい」と思ったのだ。

 

早急に音源を手に入れた「STEP BY STEP」に加え、暖かく優しい冬を思わせる「WHITE WORLD」を聴きながら、中丸さんにどんどん惹かれていくのだ。

飄々としてさらりとしているイメージの中丸さんが、こんなにも切ない恋の歌を歌うのかと。

中丸さんを知る上での一番の衝撃である。

 

そして当時リアルタイムでは初めて目にすることとなった、中丸さんの歌唱パフォーマンス。それが少年倶楽部で披露された「アブストラクト」だった。

「STEP BY STEP」を上回る衝撃に思わず倒れ込んだのはもはや仕方のないことだ。いろいろぶっ飛ばして、あ、私この人に抗えないな、と思った。

更なる衝撃の「Marionation」を聴いて心に深く刻まれた中丸さんの魅力。その後じっくりじっくり、極めつけのソロPV付「Snowflake」に至るまで、幾重の衝撃を重ねながらソロ曲を中心に中丸さんに魅了されていく。 

直近の衝撃は、我慢しきれず手に入れた瞬間蓋を開けてみたライブ円盤『NO MORE PAIИ』での中丸さんソロメドレーだろうか。

ソロメドレーのラインナップを見た瞬間「まだ知らん曲名がある」と頭を抱えてしまったがそれもそのはずだ、まさかの未音源化楽曲。「Understandable」と「Shooting star」。

これがまた私の好みド直球ストレートど真ん中ストライク曲だったので困る。そして頻繁に、まるで白昼夢のように私の中で瞬くのでもっと困る。

今からでも全然遅くないのでぜひ音源化を、と希望する。そりゃあもう強く。

 

勿論ソロ曲だけではない。KAT-TUNの楽曲を歌う姿も、様々なTV番組で見せる表情とライブでの表情のギャップにあてられたり。

中丸さんについて知っても知っても、日々新しい発見をする。

どれだけ知っても知らないことが出てくるし、知り足りなくてしょうがないのだ。

 

 

 

眠りに落ちて、夢を見る。

あまり夢を見るような人間ではないのだが、夢を見るなら決まって4、5パターンの夢を繰り返し見る。同じ夢を、正直言ってあまり気持ちの良くない悪夢を何度も、何度も。

 

最近、よく見る夢がある。

 

昔、別のジャニーズグループのライブを観るために行っていた地元から最寄りのドーム。

そこでグッズ列に並び、

噂通りの物騒なペンライト。三者三様のうちわ、なんてかっこいいのだろう。

なんて手にしたグッズを抱きしめて、飛び跳ねるほど喜ぶのだ。

会場に入り、アリーナ席でそわそわしている自分がいる。そんな自分に「中丸くんが好きなんですか?」と、己が手にしている中丸くんのうちわを指しながら隣の席の見知らぬお姉さまが声をかけてくれるのだ。

ええ、そうなんです。実は今日が初めてのKAT-TUNのライブで。

なんてへらりと答えると、「きっときっと、必ず楽しくて幸せな思い出のライブになりますよ!」とお姉さまに笑顔で鼓舞してもらうのだ。

自分は嬉しくなっちゃって、周りのhyphenさんとたくさんお話をしている。そんな時、ふっと会場の照明が下りるのだ。たくさんの歓声が上がって、あぁいよいよだ、なんて期待に胸を膨らませた瞬間。

 

必ず目が覚めるのだ。

何時も必ず、ライブという舞台の幕が上がる瞬間に目を覚ますのだ。

夢に見るほど、焦がれて焦がれて仕方がないのだ。

ああはやく、どんな形であれステージの上で輝くKAT-TUNを、中丸さんを見てみたいんだ、と。

 

 

 

そうして日付を超えて、本日2020年9月5日。

いよいよ「中丸君の楽しい時間4」の舞台の幕が上がる。

 

運に恵まれ、私も東京公演を鑑賞できる運びとなっている。

好きになって1年、ようやく中丸さんのお姿を実際にこの目に映す日がくるのだ。

どんな舞台になるのだろう。わくわくが止まらない。

けれど、9月4日の報知新聞でのインタビュー紙面に、「いつも直前になるとネガティブな気持ちになる」なんて書かれていて、なんてことを!と思わず心の中で思い切り声を荒げてしまった。

私はまだ貴方の世界の全てを、氷山の一角程しか知らないのだろう。けれど、私は十分過ぎるほど、貴方の生み出す世界に魅了され笑顔になるのだ。

貴方の憂いなんてとんだ杞憂だってことが、必ずきっとすぐに証明される。

こんなご時世、SNS上では叶うかもしれないが、実際の現地で思い切り感想を語らうことも貴方に声を届けることもとても難しいのでしょう。

けれどきっと、あなたの思い描き作り上げられた世界に、私たちは魅了されるし笑顔になれると、心の底から確信している。配信だってしてくれる貴方の優しさも、まだ知らぬ貴方の世界に触れること全て、嬉しくて楽しみで仕方ないのだ。

 

 

 

 

 

初めてかもしれない。こんなにも夢中になって愛おしいと思える人は。

一等星の如く輝く人。

どうか、どこまでも真っ直ぐな貴方のままを貫いて。
どうかどうか、貴方の心向かうもの全てが叶う素敵な一年でありますように。

 

大阪の方向はあっちかな、なんて浮かれて買ったバースデープレートの付いたケーキを食べて想いを馳せながら。

 

 

 

 

 

中丸雄一さん、37歳のお誕生日、心からおめでとうございます。